瞑想

瞑想とは

瞑想は非常に長い歴史を持つ概念です。仏教から伝わるもの、ヨガから伝わるものなど、その流派によって実践方法は大きく異なりますが、どれも一種の『集中状態』を作り出すことを目的としています。呼吸や体の特定の部位に起こる感覚など、「今この瞬間」に起こっているものに意識を向けるといった方法が一般的です。こうした意識の対象は「アンカー」と呼ばれ、その名の通り「船の錨」のように意識をピン留めする役割を果たします。これは、先に述べた呼吸や体の感覚だけでなく、マントラや慈悲の言葉を唱えたり、周囲の音に耳を傾けたりと多岐に渡ります。

瞑想と聞くと、なんとなくスピリチュアルなイメージが強く、多くの人が「悟り」や「無になる」ことを目指そうとするのですが、これはよくある間違いです。人間の脳は、生まれ持った性質として常に何かを考えているもの。思考を完全になくすことはできません。瞑想は「無になる」ためにするのではなく、むしろ自分の思考や感情、肉体感覚、私たちを取り巻く世界を観察し、「有を知る」ためのツールなのです。

近年では人間の脳について数多くの研究が行われ、瞑想の効果は科学的に証明されています。認知療法の一環として医療現場で用いられたり、ビジネスの世界でも積極的に取り入れられています。日本では、まだまだ「なんだか怪しい」「一部の意識高い系がやっている」「ハードルが高そう」といったイメージがあるかもしれませんが、本来瞑想はとてもシンプルかつ安全なもの、誰でも気軽に始められます。体を強くするのは「筋トレ」ならば、瞑想は脳の働きを活発にする「脳トレ」だとお考えください。継続的な瞑想実践は精神の安定をもたらし、いわば心の土台を整えていくので、ストレスを感じることが少なくなるでしょう。また、特定の対象に注意を向ける集中力や、物事をありのまま理解する認知能力、そして自分や他者に対する思いやりと共感力がつくことによって、自分の思考や感情を観察する余裕も生まれます。最初は難しく感じるかもしれませんが、安心して始められる方法がたくさん用意されています。